ガラスの安全性を確保するには
十分な配慮をしていてもガラスは割れてしまうことがあります。ガラス破損による被害を最小限に抑えるためには、次のような対策が必要です。
◇割れた破片を飛散させない
◇衝突した人体や物を貫通させない
飛散防止フィルム(飛散防止機能/UVカット機能)
ガラスの破片が飛散するのを防ぎ、安全性を高めます。実際の施工物件から、10年以上も飛散防止性能を継続できることが確認されています。
飛散防止フィルムの日本工業規格
飛散防止フィルムの日本工業規格
飛散防止フィルムに関する規格は、日本工業規格の「JIS A 5759(建築窓ガラス用フィルム)」で定められ、実験による規格値が示されています。その値が示す性能は、
1.ガラスの飛散を防止するために必要なフィルムの物理特性
2.窓枠に保持されているガラスの飛散を防止する性能
A:人と物がガラス面に衝突した場合の飛散防止性能
B:地震などにより窓枠が変形して、ガラスが歪んだ場合の飛散防止性能です。
性能 | 実験装置 | 特性 | 規格値 | 参照JIS規格 |
---|---|---|---|---|
物理特性 | 引っ張り試験機 | 接着力 | 0.16Kgf/10mm幅以上 | A 5759 6.4 |
破断強度 | 4.1Kgf/10mm幅以上 | |||
伸び | 60%以上 | |||
飛散防止性能 | ショットバッグ試験機 | 飛散防止量 | 落下高さ30cmからショットバッグ加撃し、飛散したガラスの大きい方から10個取り、総重量80g以下 かつ1片が55g以下であること | A 5759 6.6.1 【A 5759 A法】 |
層間変位試験機 | 飛散防止率 | 95%以上(D1)、85%以上(D2) | A 5759 6.6.2 【A 5759 B法】 |
<スコッチティント>飛散防止フィルムは、上記の規格値全てを満足します
ガラスを用いた開口部の安全設計指針
建物の出入り口等、ガラス開口部への衝突事故が多数報告されています。
欧米においては、既にガラス開口部の安全基準等による規制が実施されていますし、我が国においても、ガラス開口部への人体衝突による傷害事故を防止することを目的とした安全設計指針が策定され、「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」として通達されています。
出入り口及びその隣接物 | その他の開口部 | ||
---|---|---|---|
安全設計が求められるもの | A 集会場等のロビー等 B 百貨店、展示場等の通路、休憩所等 |
120cm | 75cm |
C 学校、体育館等、幼稚園等、小中高等学校等 | 30cm 120cm |
30cm 120cm |
|
D 浴室等 | 75cm | 75cm | |
安全設計が望まれるもの | A 事務所、店舗等の玄関周り等 B 病院、ホテル、共同住宅等の共用部分 |
120cm | 75cm |
C 病院、養老院等の居室 | 75cm | 75cm | |
D 浴室等 | 75cm | 75cm |
※「出入口の隣接部」とは、出入口に隣接する部分のことで、居住専用部分にあっては出入口から30cm未満、その他の部分にあっては(45kgショットバッグの落下高さ)出入口から120cm未満の範囲にある部分とする。
建設省通達
当指針の活用方については、建設省より建設省住宅局建築指導課長名で全国都道府県・市・区等特定行政庁建築主務部長宛及び建築関係団体宛に通達されました。
「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」についての全文
昭和61年5月31日付
特定行政庁建築主務部長宛 建設省住宅局建築指導課長・建設省住指発第116号
建築関係団体宛 建設省住指発第117号
近年、建築物に設けられるガラス開口部が大型化してきていること等に伴い、人体の衝突等によるガラス破壊が重大な傷害等に結びつく可能性が増大しており、特に、集会場、百貨店、学校等の不特定多数の人間が利用する公共性の高い建築物をはじめとして、建築物の各部位のうち、出入口及びその周辺、階段まわり、浴室等の人体衝突の発生しやすい部位に設けられるガラス開口部については、所要の安全対策を講じることが必要と考えられる。
このため、(財)日本建築防災協会において、こうした傷害等を防止するための設計方法を検討してきたところであるが、今般、別添の「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」がとりまとめられた。
本指針は、人体衝突が起こりやすいガラス開口部を「A)傷害発生の頻度、傷害の程度、建築物の公共性から考えて緊要度が高く、安全設計が求められるもの」及び「B)緊要度がA)に次ぎ、安全設計が望ましいもの」に分類し、これらについて安全なガラスの選定方法を中心に、併せて、衝突防止のための設計手法を指針としてまとめたものであり、特にA)のガラス開口部については、安全設計の必要性が高いと考えられるので、貴職におかれても、本指針を行政上の参考として活用することにより、ガラスによる日常生活上重大な傷害等の防止を図られたい。