「快適と安全」のために。ポートライナーの細心の配慮
でも、神戸ポートライナーの安全対策・乗客のことを考えた取り組みは、これだけではありませんでした。
- ◇場所を考えた優先座席の配置
- 他の電鉄では、優先座席は各車両に等分配置されていますが、ポートライナーでは、たくさんの患者さんや体の不自由な方々が乗り降りする「市民病院前」駅の改札口に一番近いところに、優先座席を特に集中的に配置しています。
- ◇電光掲示板を全ドアに配置
- 神戸空港開通を受けて3台の新車両を導入しましたが、新車両ではすべてのドアの上に電光掲示板が設置されています。耳の不自由な方が、どのドアで乗り降りしても掲示板が目に入るように、との配慮です。東京の山手線などでお馴染みの電光掲示板、言われてみれば、もともと耳の不自由な方のために次の駅を知らせるために設置されているんですよね(最近は広告媒体的な要素が強すぎて、本来の目的を忘れそうでした)。
- ◇取っ手へのラバー設置
- 新車両では、ドア付近の手摺や座席を支える支柱など、金属の取っ手に全てラバーを被せています。握りやすいのは勿論、万が一の急停車で乗客が取っ手に体をぶつけても、柔らかいラバーのお陰で軽い怪我で済むようにしています。事故を防ぐのは大前提、もし事故が起きても、乗客への二次災害を減らす取組み、頭が下がります。
これだけ見えない安全対策にコストを掛けているにも関わらず、なかなか公表できない辛さ。「公共交通機関として安全なのは当たり前」という世間の常識に応えていくために、神戸ポートライナーは責任を持って安全対策に取り組んでいました。
ガラスだって自然に割れることもあるし、もしもに備えてフィルムを貼る決断をされた経営陣の方々、整備現場で乗客のことを真剣に考えて日夜整備にあたっている車両課の皆さんに、敬意を表するとともに、とても貴重なお話を聞かせていただいたこと、大変感謝しています。
コラボも参考に。ポートライナーの取り組みと姿勢
最後に、今回お世話になった車両課主任の河野さんが、乗客の安全に対する姿勢として言ってくださった、こんなお話がとても印象的でした。
「バスの話なんですけど、バスの車体はとても重いので、急ブレーキをかけると乗ってるお客さんは前に吹っ飛んで体をぶつけて怪我をする。だから、バスの運転手さんは、とても余裕を持って安全運転してるそうです。」
「さらにこんな話を聞きました。バスの運転手さんは、もしも前の車に追突しそうになったとき、急ブレーキを掛けてお客さんを犠牲にするか、お客さんを守るために急ブレーキを掛けずに前の車にぶつけて車体を犠牲にするか、迷うそうです。どっちにしても事故なんですけど、そういう意識があること自体、信じられない話ですよね。でもお客様のことを第一に考えるこういった姿勢は、私たちもとても勉強になるんですよね。」
我々コラボも、企業さまの仕事場や一般のご家庭の安全を守るものとして、ポートライナーの取組みの内容は勿論、その姿勢も大変参考になりました。
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